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糖尿病病診連携マニュアル(川崎市内)
 平成8年度川崎糖尿病懇話会

川崎糖尿病病診連携マニュアルの発刊によせて

川崎市内科医会

最近の人口の高齢化、生活様式の変化により疾病構造も変化する一方、遺伝子工学、バイオテクノロジーの応用等により医学においても疾患の病態の解明、診断と治療に急速な発展が認められつつあります。
これは糖尿病の分野においても同様であり、血糖自己測定による自己管理の改善やインスリン強化療法の導入等、糖尿病の治療も変わりつつあるのが現状です。
診療が専門化する中で、私達開業医にとって大切なことは、地域の住民の方達に質のよい医療を提供することが、私共に課せられた大きな課題の一つであると考えております。
しかし開業医の外来治療にも限界があります。糖尿病の患者さんを専門の施設に紹介し、十分な指導を受け、その後患者さんをフォローアップしながら適当な時期に再び専門施設に送り、その治療指針について専門の先生方と検討することを続けることによって、より良い治療環境が出来ると思います。その意味において、川崎糖尿病懇話会の先生方が糖尿病病診連携マニュアルを作られたことは、非常に意義のあることと推察しております。
数年前、当時川崎市内科医会の副会長をしておられた星 昭行先生が、川崎市内の病院専門外来のマニュアルを同じ目的で作成され、内科医会の会員から好評を得ております。
どうか川崎市内科医会の先生方も、この糖尿病病診連携マニュアルを十分御活用されるようお願いするとともに、作成の労をとられた大野先生松葉先生、その他の大勢の先生方に深く感謝を申し上げます。

川崎糖尿病病診連携マニュアルの発刊によせて

東京慈恵会医科大学健康医学センター

健康医学科 教授 池田 義雄

 今日、糖尿病の怖さを確認するとき、糖尿病は可能な限り早期に発見し、正しい知識と技術を習得させる教育を十分に行い、定期的に医療機関を受診させる指導と配慮が欠かせません。特に重要なのは、発見された糖尿病患者ならびにその家族に対する糖尿病の初期教育です。そして、日常診療のポイントは、適正体重の維持と良好な血糖コントロールの維持です。加えて、眼、腎臓、神経に関する合併症チェックも欠かせないところです。
このように幅広い対応の必要な糖尿病診療に際して、これを円滑に行っていくための病診連携の重要性が強調されてきました。病診連携の一例を診療所側からみると、例えば老人保健法に基づく基本健康診査での糖尿病検診の結果、糖尿病と診断したケースについて、糖尿病の初期教育を教育入院によって行うことが望ましいと考えられたものについては、患者をその機能を有する病院に紹介し、そこで得られた治療指針を、今後は、病院から逆紹介の形で伝達してもらい、患者は再び診療所に戻って、ここで定期的な通院治療を行っていくなどです。
一方、病院からの例としては、昨今の大病院指向で訪れた糖尿病患者について、教育入院、或いは外来コントロールの結果得られた適切な治療指針を、患者が在住する近くの診療所に紹介し、以後のフォローを行ってもらうなどです。
病診連携は、決して一方向への流れではなく、患者の病期、病態、治療内容により常に双方向性のやりとりができることが望まれます。これが円滑に行われるためには医療情報の共有化が不可欠です。
そのための最小限の手段として日本糖尿病協会発行の「糖尿病手帳」や「血糖自己測定ノート」の活用が望まれます。近い将来は、これを光カードによって行うことも可能となりましょう。
今回、川崎市内で初めて糖尿病医療に関して、病院側の受け入れ体制に関する情報が開示されました。この内容からすると、現状では初期教育のために教育入院などについて十分な受け入れ態勢が整っているとは言い難いようではありますが、これが契機となってそれぞれの病院における糖尿病診療のためのシステム作りが促進される方向に動けば、大変よい結果になるものと思われます。今後は、診療所側からの情報開示も急がなければなりません。又、病診連携システムの構築も必要となりましょう。
以上のことが円滑に機能する中で、川崎市内における糖尿病医療が更により良い方向に発展し、多くの患者とその家族に確かな利益のもたらされることを願うものです。皆様方の御尽力に心からなる敬意を表す次第です。

川崎糖尿病病診連携マニュアルの発刊によせて

聖マリアンナ医科大学 第三内科学

主任教授 斎藤 宣彦

 最近は、医学生への糖尿病講義の冒頭に、次のようなことをいうことにしている。
「近年は、ひところ盛んに推奨された専門医志向が見直されつつあり、すでに一部の領域では、専門医数が飽和に達している。いま、望まれているのは一般内科あるいはプライマリケアを得意とする医師である。このようなニーズを踏まえたうえで糖尿病という疾患を考えてみると、一般内科医を養成するための卒前教育の素材として糖尿病ほど適切なものはないといえる。糖尿病では、家族暦の聴取の重要性、血液生化学的検査の判読、眼底検査の手技と読み、末梢神経障害や自律神経障害の把握の仕方、腎機能検査の選択、さらに脳血管障害、虚血性心疾患、足病変と、それこそ頭のてっぺんから爪先まで、きわめて広範囲の病態の診断から治療に至るまでの、知識と実践とが要求される。加えて、患者や家族の教育、もう一歩進めば発症予防のための健康教育にまで踏み込む必要が出てくる。そして、それらをマスターしたとしても糖尿病腎性が進行すれば、血液透析の専門医の知恵と技術とを借りなければならなくなる。
ほかにも、眼科、神経内科、循環器内科、血管外科、整形外科、皮膚科等々、多くの専門医との連携が
必要となるはずである。もちろん、医師ばかりでなくコ・メディカルを含めた医療関係者の手助けも欠くことができない。となると、それらのコーディネイターやチームリーダーとなるための学習もしなければならない。よって内科のチーム医療教育にうってつけなのが糖尿病なのである・・。」
しかし、私たちが医学部を卒業した頃は、病院内の各診療部門の横の連絡は十分とはいえない場所も多かった。だから、あなた方はそれぞれの専門家の知識を集約して、すべての症例に最善の治療を行えたのかと問われると、その方向で努力しました、などというなんとも歯切れの悪い返事しかできない。それが近年ようやく望ましい方向へと変革してきて、わが病棟にもいろいろな分野の人々が入ってくるようになった。本来、これが当たり前の姿で、この状態を集学的などという改まった言葉で表現するのは面映ゆいことである。
ここまでは病院内というエリアで構築した例え話しであって、疾病に対する連携プレーの必要性は何も病院内に限ったことではない。病診連携とは、人々が集落を形成して住み集うところ、すべてが対象となるシステムであり、糖尿病に限らず医療にかかわっているすべての人々が、その持てる知識や技を共有して病者に提供することである。
川崎市で糖尿病の病診連携に関する情報公開をしていこうというとき、地図を見ていて気になるのは川崎市の形である。なんと細長い形をしていることか、市の北部の住民は東京方向を向いて生活しているし、北西部は横浜市北東部の生活圏に組み入れられている。確かに将来は行政区域にとらわれず、交通網をも加味した生活圏単位の情報公開のほうが便利かもしれない。
しかし、医師会やその他の組織との連携を考えるには、市という単位がよいのではないかと思う。この病診連携マニュアルの作成にあたっては、大野 敦博士と松葉育郎博士の熱意と多大な努力があったこと、また、川崎市医師会や関係医療機関の方々、さらに幾つかの製薬会社のご協力があったこと、本誌の頁を開いたすべての方々にお知らせしておく。
編集後記 第2回川崎糖尿病懇話会(平成6年11月24日)の際に提案された川崎市の各病院における糖尿病患者の受け入れ状況を紹介するための小冊子が、今回「糖尿病病診連携マニュアル(川崎市内)」という名称で発行する運びとなりました。
糖尿病患者の病診連携に関するこのような小冊子が作成される機会は、本邦では初めての試みと思われます。従いまして、今回取り上げましたマニュアルが果たして皆様のお役に立つ内容にまとめられたかどうかは、今後ご利用いただきます先生方からのご批判を仰がなければならないと考えております。最後に、今回原稿の執筆にご協力いただきました各医療機関の先生方,指導いただきました顧問の先生方、出版に際してご協力いただきました関係各位に厚く御礼申し上げます。
                                   平成8年11月
                                   川崎糖尿病懇話会幹事会 

川崎糖尿病懇話会世話人

       特別顧問   池田 義雄   (東京慈恵会医科大学健康医学科教授)
       
       
       顧  問    植木 彬夫   (八王子医療センター内分泌代謝科助教授)
                大迫 六郎   (大迫内科クリニック)
                斎藤 宣彦   (聖マリアンナ医科大学第三内科教授)
                田中 剛二   (高津中央病院内科)
                田邊 裕文   (田辺医院)
                星   昭行    (星内科胃腸科)
                 
       幹  事    大野   敦    (総合新川橋病院内科)     
                小花 光夫   (川崎市立川崎病院内科)
                栗田   正    (栗田病院神経内科)
                高橋 裕昭   (高橋眼科クリニック)
                田中 洋一   (田中内科クリニック)
                半田みち子   (川崎市立井田病院内科
               
 松葉 育郎   (松葉医院)
                三倉 亮平   (三倉医院)

                                             (五十音順)

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