糖尿病についてのページ

血糖値 自分で測って予防や治療

1997年3月19日の東京新聞に掲載された内容より

血糖値を、便利な測定器で血圧のように自分で測る動きが広まってきた。糖尿病の食事療法や運動療法は、主治医に言われてもなかなか守れないもの。しかし「血糖自己測定で1日の血糖値の変動が分かってくると、自分で上手に制御できるようになるそうだ。生活習慣病の治療の極意は、「自己管理」にあり−−。

「簡易血糖自己測定器」は名刺大の大きさ。ペン型のワンタッチ針で、指先などから極微量の血液を採取。その血液を試験紙に付けて測定器に入れると、15秒から30秒前後で血糖値をデジタル表示してくれる。「血糖自己測定」はもともとインスリンを自分で注射する糖尿病の患者が行ってきたものだが、川崎市幸区、松葉医院の松葉育郎院長(日本糖尿病学会評議員)は、食事と運動療法を身につける手段に生かして、成果を上げている。

「糖尿病治療は、血糖値のコントロールが何より大事。血糖値がはね上がったら、モグラたたきの要領で下げるのだが、月1〜2回の通院の採血で得た”点”のデータでは、制御はなかなか難しいのです。」と松葉院長。希望する患者には、測定機器を無料で貸しだしてきた。現在までの貸与者は70数人にのぼり、うち50数人までがインスリンを使わない患者。
その1人、森尻数雄さん(65)は30代末に糖尿病になり、経口の血糖降下剤で治療してきたが、会社の健康診断で眼底出血が見つかり、専門医の松葉院長のもとへ。5年前から自己測定を始めた。
最初の1年間は、1日に3度の食事の前後や、早歩きの運動療法の後など、こまめに測定を続けた。「食べ過ぎが1番よくない。てんぷらを食べると、血糖値は一挙に40も上がります。何を食べ、どの程度のストレスで、どのくらい上がるか、だんだん読めてきます」と森尻さん。松葉院長によると、
こまめな測定を3ヶ月続けると血糖値の目安がつかめて、測定回数を減らせる。森尻さんは10日に1度の通院前日に測定するだけだが、空腹時血糖値
は80〜110、随時血糖値も200以下に制御できるようになった。自己測定で、自分に合った経口薬も見つかった。

松葉医院の患者は、日常のチェックは血糖自己測定だが、月に1度、医院で「ヘモグロビン(Hb)A1cを検査、ここ1ヶ月の血糖値の状態を総括する。
松葉院長が指摘する
糖尿病自己管理の”三種の神器”がある。
(1)血糖自己測定器
(2)万歩計(消費カロリー付き)
(3)宅配の糖尿病食−−だ。
インスリンを使う寸前だった患者の田中みな子さん(65)は、この”神器”を駆使して、随時血糖値を300から200に、HbA1cを9.65%から6%台に下げることに成功した。
「先生や栄養士さんに1日1600カロリーと言われましたが、カロリー表をみても難しくって、面倒で、とても長続きしませんでした。
しかし、
食材の宅急便を3ヶ月続けると、量の感覚が体で分かってくる。そこで宅配をやめて自分で料理し、併せて毎日1時間半の散歩をし、自己測定で結果を確かめていったのです」と振り返る。
血糖自己測定器は、1台1万5千円前後。入手や使用には医師の指導が要る。試験紙は1枚120〜140円で、インスリン療法者に限り健康保険が利くが、それ以外の人には実費がかかる。

池田義雄・東京慈恵会医科大学教授の話
血糖自己測定から健康保険や医師の許可のしばりを外せば、みんながもっと気楽に血糖値を測れるようになる。
これが軽症の糖尿病の予防と治療につながってゆき、糖尿病患者は100万人単位で減るだろう。試験紙も、コンビニやスーパーで入手可能になれば広く使われ、競争でさらに安くなるでしょう。

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